閉鎖したボーリング場の夜間警備バイト

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 私は学生時代、閉鎖したボーリング場で夜間警備のアルバイトをしていたのですが、とても暇で楽な仕事でした。当時、ボーリングブームが去り、あるボーリング場が閉鎖。そのボーリング場の夜間警備をするアルバイトを見つけ採用されたのです。
 警備といってもその仕事内容は簡単なものでした。仕事というより、その場にいるというのが仕事だったのです。実質上は一晩、寝に行くようなものでした。そんな暇で楽な仕事は、大学卒業間際の私にとって、願ってもないアルバイトでした。なぜなら、監視する上司もおらず、読書をすることもできるし、勉強をすることも自由にできたからです。
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一般的に警備員の仕事といえば、夜間警備であっても、夜中に施設内を何度か見回りをする必要があるものです。
しかし、このボーリング場夜間警備のアルバイトは、その必要はありませんでした。
ただ不審者が入ってこないように「ガードマンがいてるぞ!」ということをアピールするために配置していたのです。
ご想像いただけると思いますが、不審者などそうそう侵入するものでもありません。ましてや閉鎖されたボーリング場など、不良たちのたまり場にもなりえませんし・・。つまり、やるべき仕事など皆無で、勉強に読書を自由にして、眠たくなったら寝るという自由気ままなアルバイト生活を送っていました。
しかし、困ったことがいくつかありました。なにしろ、閉鎖したボーリング場です。電気だけは通っていましたが、電話は通じなくなっていたのです。現代のようにスマホや携帯電話が普及していなかった時代ですからこれは不便でしたね。仕事に入る前にはボーリング場の外側の公衆電話から警備本部に「今から警備に入ります」と一報を入れてました。また、帰るときも同じく電話が使えないので、ボーリング場の外側から「勤務が終了しました」と一報を本部に入れていました。
そんな状況でしたから、もし仮に不審者が入ってきたとしても本部と連絡の取りようがありませんでした。そういう事情を考慮してか、ボーリング場の内外の巡回を禁止されていたのです。万が一、学生のアルバイトに怪我でもさせたら大変だという考えもあったのでしょうね。 そんな状態でしたから、仕事自体は自由で楽なことは楽でしたが、果たしてこのアルバイトには自身の存在意義はあるのか?という気持ちが常にありましたね。
また、布団は誰が寝たのわからないような不潔な布団でまさしく万年床でした。しかし、若いときは、そんなことはあまり気になりませんでした。少しぐらい体がかゆくなっても、その布団を使用していました。というのは、そのアルバイトをしていた季節は秋でしたし布団なしではとても寒くて寝ることはできなかったのです。あと、困ったことは風呂です。いくらなんでも、風呂に入らないわけにはいきません。そんなわけで、アルバイトに入る前は必ず、銭湯で一風呂浴びてから、行くようにしていました。
この閉鎖されたボーリング場でのアルバイトを通して感じたことは、暇で楽な仕事というものは、その代わりになにか、犠牲にしなければならないということです。暇で楽であるというのには何らかの理由があり、それは必ずしも喜べる事情であるとは限らないということです。
                          (暇で楽なアルバイトの体験談 60代男性)

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