私は現在ある企業で広報を担当する仕事をしています。毎日が充実していて転職をして本当によかったと思っています。
私の場合、40代になってからの転職で、半年にわたり転職活動をしていました。
前職はあるメーカーでの事務員をしていました。電話応対(クレーム対応中心)やパソコン入力などデスクワーク中心の仕事でした。
辞めた原因は本当に些細なことでした。忘れもしない43歳のとき、寝坊をして遅刻してしまい、それで上司と口論になったことです。
上司があまりにグチグチうるさかったので、「もういいですよ。辞めればいいんでしょ!」と辞表を提出。社長からは引き止められはしましたが、当時の私は変なプライドと自信を持っており突っぱねてしまいました。
「じゃあ、仕方ないか」と辞表は受理されてしまい、退職となってしまいました。
といっても、不安になるというよりはその時はせいせいした気持ちでした。
転職活動なんて余裕だろと思っていたからです。転職先なんて1週間程度で見つかるんじゃないか?とたかをくくっていたのです。また、前職では仕事が毎日面白くなくてストレスがたまっていたのです
ところが、それから転職先が決まったのは6か月も先のことでした・・
退職して数日後から、私は転職活動を始めました。喫茶店でパソコンを開き、求人情報サイトで求人を見つけてはエントリー。面接に行く日々を送っていました。
事務系の仕事だったり、有名企業の募集を見つけたら手あたり次第にエントリーしていました。しかし、書類は通過しても面接ではことごとく不採用になっていました。
それでもまあ適当にやってたら決まるだろと思っていたのですが、転職活動は「下手な鉄砲数打ちゃあたる」戦法ではうまくいきませんでした。
そんな私でも転職活動をし始めてから1か月くらいしてようやく焦りが出始めました。
退職金も徐々に減ってきましたし、結婚もしていて家族を養う責任もありますし。不採用の通知をもらうたびに、どんどん自分に自信をなくしていったのです・・
そして40代の転職というのは難しいものだなと気づきました。まあ考えてみたら当たり前と言えばそうなのです。
40代という決して若くない年齢層に求められているのは技能や経験だからです。
20代から「若さ」という武器がありますし、採用する側も現状の能力よりも「伸びしろ」をかってくれます。
しかし、30代、40代、50代・・と年齢を重ねるにしたがって、採用側も慎重になっていきます。それは伸びしろの少なくなりますし、変なプライドを持っている人が多くなるからだと思います。
実際私もそのひとりでした。
それだけでなく私の場合、技能や経験も大して磨いてきませんでした。
前職は非常にぬるい会社で、特に専門的な技能を培える場でもなかったのです。資格も車の免許くらいしか持っていませんでしたし、英語も英検3級、学歴も無名の私立大学。
40代となって何か誇れるような要素は自分でも何も思いつきませんでした。
そんなふうに単に年齢だけ高い人材を採用するような会社もそうそうあるものでもありません。
40代の転職って本当にハードルが高いんだな・・それにようやく気付きました
また、志望動機についても「お金がないと生活できないから」くらいしか思いつきませんでした。そしてそれを面接で普通に話しては不採用になっていました。
そんなある日のこと、民間が主宰する転職セミナーに参加しました。
その日をきっかけに私は転職活動を成功させる方向へ進むことになります
そのときの講師が強調していたのは「自己分析の重要性」でした。
自己分析が大切ということは就職活動のマニュアル本で幾度となく目にしてきましたが、それこそ私に最も足りていないことだと気づきました。
そのセミナー講師はこんなことを話していました。
「今まで友だちや先生に褒められたことはありませんか?些細なことでもいいので思い出して紙にかきだしてみてください。それがあなたがやるべき仕事の大きなヒントになります」
他人から褒められた思い出・・
私の場合、
「アイデアをいろいろ思いつくと褒められた」
「人を応援するのがうまいと言われたことがある」
「表情がよいと言われたことがる」
「資料作りがうまいと言われたことがある」
などが思いつきました。自分には何の魅力もないと思っていましたがよくよく思い出してみたら意外とあるものだなと思いました。
そのように自己分析をするなかで、今まで自分は前職で一体何をしていたんだろう?と思うようになりました。
というのは「給料」「通勤しやすい」くらいしか理由がなく自分の適性とは全く違うことをしていたからです
自己分析をするなかで、「自分が一体何をしたいのか」「何が向いているのか」が分かり志望動機が固まってきたように思います。
自分がやってみたいこと、それは何か広報をするという仕事だときづきました。
そして私がもうひとつ重視したのは、採用側はどんな人物像を採用したがっているのかじっくり想像してみることでした。
それは求人の詳細をみると、そこからうかがい知ることができます。
例えば「リーダーになれる人を重視」と書かれていたなら
「いろんな人に気配りをできる」
「不測の事態が起きても臨機応変の対応をできる」
「自分の意見をはっきり主張できる」
みたいことが求められているだろうと想像できます。
それと自分の「褒められたこと」つまり「適性があるだろう」と思われることとつなげて面接で話せばいいのです。
いわば「自分」という商品の特性と魅力を採用側に伝えていくのです。
いかに「自分」という商品がその企業にマッチしていて、会社を高める可能性を秘めているかをアピールする。そこでは、できるならば、実際に働き始めてからどんな面で貢献できるのか、自分と同僚をどのように幸せにできるのかをできるだけ具体的に話すのです。
そして、その場で働けたら皆がハッピーになれるといううイメージをしっかりして面接に向かうようにしました。
それからは不思議なことに転職活動が軌道に乗りました。最終的には、ほぼ同時に3社から採用の通知をいただき現職を選ぶことに。
今考えると、結果として転職をして本当に良かったと思います。というのは、もし前職でぬるま湯のなかでずるずる働いていても、きっと仕事に対する喜びを感じずに年齢を重ねていただろうからです。
40代の転職は確かに不安になる面もありましたが、少なくとも私の場合、良い転機になったと思います。今の仕事は心から喜ぶことができているからです。
(転職の成功体験談 40代男性)