コンサートまで観れた単発バイトの話

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私はかつて単発のアルバイトをいろいろしていたのですが、凄く楽な仕事を任されたことがあります。
その単発のアルバイトは「こんなに何もしなくていいのかな?」とこちらが心配になるほど楽な仕事でした。
どんな仕事だったかというと、公開ラジオ収録の警備です。通常のラジオ番組で、公開ラジオに参加したい人を募り、ハガキ当選した人だけ会場に入ることが出来るという企画でした。
そのため、参加者は限られた人数で少なく、警備と言っても特にすることはありませんでした。
屋外で行われるならまだしも、ラジオ収録が行われる会場は小さなホールで、警備する範囲も狭いという状況でした。ですから、あちこち歩きまわる必要もなく、警備員は一ヶ所でとどまっていれば十分という感じでした。
とはいえ、警備員ですから、何もやることがなくても突っ立っている苦労はあるわけです。
そんなことを考えているときでした。私が配置場所に立っていると、ラジオ収録が始まる前に会場担当の方が来てパイプ椅子を用意してくれたんです!
警備の仕事をしに来たのに座ってもいいのかさすがに躊躇して座らず立っていると、「皆座っているから大丈夫だよ」と会場担当の方が改めて声をかけてくれました。
勿論腰かけていたのは単発のアルバイトに来た警備員ばかりでしたが、同じ立場の人達が座っていたので、私もお言葉に甘えて彼らと同じようにそのパイプ椅子に腰かけることにしました。
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しかも、会場担当の方が置いてくれたパイプ椅子の向きが、ちょうどステージの方向だったため、私はまるでお客さん気分で座ることが出来ました。
単発のアルバイトはいくつか経験しましたが、こんなに優しい担当者に会ったことはありませんでした。
この警備の仕事が今までで一番楽だったと感じるのは、担当者の配慮のお陰だと思っています。
また、この日の警備のアルバイトが思い出深いものになったのはそのこと以外にもありました。ステージ上でラジオ収録が始まると、折角ハガキ当選したお客さんがいるからと、歌手が歌を歌ってくれたのです。
私は芸能人の生歌を聞いたのはこれが初めてで、お給料をもらうだけでなく、ステージが見れるなんてなんてラッキーなんだ!と思いました。
しかもその歌手はお客さんのアンコールにも応えてくれる、とても気のいい歌手でしたし、テレビによく出ている方だけあって歌声も最高でした。
私はパイプ椅子に座っている間、一瞬、警備の仕事で来ていることを忘れて、その歌声の綺麗さに感動し泣きそうになってしまいました。
ちゃんとハガキ当選して来たお客さんには悪いなという気持ちもありましたが、たまたま私が引き受けたこの警備のアルバイトは本当においしかったです。仕事が楽な上に、素晴らしいステージまで見れる仕事だったので、本当にラッキーでした。
                                  (20代女性)

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