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一日中ゆっくりカード切りをするバイト





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私は以前、お小遣い稼ぎをするため単発などのアルバイトができる派遣会社に登録していたことがあります。
派遣会社に登録すると、様々な派遣先現場の中から自分に合いそうな仕事を紹介してもらって、早ければ次の日からでも働くことが出来ます。
私は派遣会社を通して、普段はある慣れた現場で長く働いていたのですが、時々、他の現場に単発で派遣されることもありました。
単発の仕事で派遣された会社のひとつにトレーディングカードを扱う会社がありました。その会社ではトレーディングカードの印刷や選別、包装から配送まで行っていました。
私は似たような仕事を以前やっていたことがあるため、ある程度の作業内容は理解していました。ただ、そのトレーディングカードを扱う会社は、明らかに最初から空気感がまったりしていたといいますか様子が変でした。
その日は20人くらい派遣さんが集まっていたのですが、テーブルと椅子がある場所へ移動した後、いきなり待機を指示されたのです。指示されたままに待機していたのですが、なかなか社員の人は現場に現れません。
出勤して早々、椅子に座っていた私たち派遣スタッフたちは「どうしたんでしょうね?」などと互いにつぶやいていました。
社員の方がやってきたのは1時間くらい待機した後のことでした。そして、その日の仕事内容の説明があったのですが・・それを聞いた瞬間、みんな思わず笑ってしまいました。
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それは、一人一人椅子に座り、箱の中に入っているトレーディングカードを取り出し、ひたすらハサミで細かく切ってくださいというのです。
どうして皆笑ったかというと、その会社の一角には立派なシュレッターが置いてあったからです。わざわざ人を雇ってハサミで切らなくても、シュレッターにかけてしまえば数秒で終わってしまうことでしょう。
なぜそんな意味のない作業を私たちがすることになったのかというと、その日はお仕事が少ないのに、派遣さんを多く取ってしまったというのです。せっかく来てもらったのに仕事がないから帰ってくださいというわけにもいかず、仕事を無理矢理作ったのが、トレーディングカードの不要品をハサミで着るという作業だったのです。
私たち派遣スタッフは、社員さんに指示された通り、カードをひたすらはさみで切っていきました。しかも切るカードの量も少なく、慣れてくるとペースも上がってきます。そんなとき、素早く一生懸命作業をしている派遣さんがいて、社員の方から注意が飛びました。
「あ、そこの君、あまり早く切らないで大丈夫ですからね~。ゆ、ゆっくりでお願いします・・休憩も自由に行ってきてOKですよ・・」
作業が単純すぎすぎる上、ゆっくりカードを切っていたので中には、途中で寝てしまった派遣さんもいらっしゃいました。しかし社員さんは怒るどころか、見て見ぬ振りをして笑って済ませていました。
他の派遣さんたちとおしゃべりをしながら、時々気が向いたときにカードをハサミで切る。そんな風に、まったり暇な1日は過ぎていきました。
そしてようやく定時の時間がやってきました。皆、あくびをしたり背伸びをしたりしていましたね。社員の方からは「こんなお仕事してくださりありがとうございました」とお礼を言われました。そんなことで日給をもらうのは申し訳なかったですが、私たちからすると、ほとんど疲れることもなく1日の作業が終わりとてもラッキーな一日になりました。
                                     (20代女性)

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