飲料メーカー無料サンプル配達の仕事

スポンサーリンク
スポンサーリンク

私は某有名飲料メーカーの小さな営業所でサンプル商品を配達する仕事をしていたことがあります。雇用形態はパートでした。勤務時間は平日10時~17時くらい。「くらい」と書いたのは理由があります。それは、私が働いていた営業所はスタッフが三人しかおらず、自由なスタイルでやっていたため、退社時間前でも仕事がひと段落ついたときは上司が、「そろそろ帰ろうか?」となるユルい職場だったのです。
その仕事内容は、あらかじめ地図で配達する地域と順番を決めておき(同一ヶ所は3ヶ月くらい間隔を開けます)、各家庭に、飲料メーカーの無料サンプル商品を配っていくというものです。
巡回した家が在宅か不在によって対応は変わるのですが、まずはとにかく訪問した家のドアホンを押します。その時も、すぐ指を離すのではなく、「ピーーンポーーン」という間延びした、「ヤッホーの親戚みたいに押すのが理想だ」という上司からのアドバイスに従って押します。言われてみれば納得ですが、そんなどうでも良いようなレクチャーを同僚から受けては仕事に取り入れていました。
a0001_006604.jpg
一般家庭を訪問して、その反応は、「はあ、どうも。ご苦労様です」みたいな感じが多いです。
ただ中には疑い深く怪訝そうな反応をされる方もおられ、その時は飲料メーカーのサンプル商品は渡さずにすぐに引き下がります。
では、なぜサンプル商品を無料で各ご家庭に置いていくかと言うと、空き瓶を回収する際に感想を伺ったり、「今後どうですか?」と聞くためです(「あの家はこわいから回収だけして帰ろう」なんてこともありましたが)。
さて、この仕事の何が楽かというと、「考え方」がとにかく楽なのです。というのは「下手な鉄砲も数撃てば当たる」的な発想で、「その内に義理を感じたお客さんが注文の電話して寄越してくれるだろう」という気の長い考え方なのです。そこでは堅苦しいノルマもなく、プレッシャーをかけられることもありませんでした。
この厳しい競争社会である現代社会において、ここはオアシスか!とつっこみたくなるほど気楽な雰囲気の職場だと感じました。また、無料サンプル商品の配達は、基本的に二人組で車で廻っていたのですが、それも楽しかったですね。車内では相方にコーヒーを奢ったり、次は奢られたり。車の中ではワイワイしゃべりながら盛り上がっていました。
なお、スタッフ3人のうち1人は、2人が車で各家庭を巡回している間は、事務所にて待機していました。注文電話がいつ掛かってくるか分からないからです。初めて事務所で待機をしたときは、じゃんじゃん電話がかかるのかと思い電話を前に緊張していました。
ところが待てど暮らせど、電話がうんとも寸とも鳴りません。とにかく「暇」「楽」でした。結局、待機をしているにしても何にも起きないわけですが、会社の方針が「忘れた頃に注文が入るかもしれない」というアバウトな考えだったので、皆プレッシャーになく仕事を楽しんでいました。
ただ、私はいろいろ考えあって、結局、その飲料メーカー営業所を1か月ほどで辞めさせていただきました。仕事内容もそこそこ気に入っていましたし、同僚2人との人間関係も良好だっただけに、周囲は不思議がりました。
辞めた理由は、私は生来動くことが好きだったからでした。仕事があまりに楽で暇すぎたため、極度の不安に駆られるようになり、このままではいつか同僚に迷惑をかけると思ったのです。暇で楽な仕事は、一見すると最高なものだと思われがちです。ただ、それは人によりけりなのかもしれません。私の場合、毎日忙しく走り回っているような仕事の方が性に合っていたようです。
    (楽なパートの仕事の体験談 30代男性)

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました