観光地インフォメ―ションの暇バイト

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私は以前、アルバイトスタッフとして、観光地のインフォメーションで働いていました。採用されてから1か月ほどは、社員さんが教育係として私と一緒にカウンターに常駐してくれました。その後は私がひとりで観光地インフォメーションに入りました。
観光地といってもかなりさびれた観光地。観光客自体があまり来ないという状況でした。どれくらい
来ないかというと、1日5人から10人程度のもの・・・。
1時間のうちに1人~2人のお客様に対応し、観光MAPを渡したり質問に答えたりするだけでした。社員さんもこのお客様が少ない状況を当然知っているので、インフォメーション内にイスや電気ポットなどを用意してくれていました。
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イスに座ってお客様を待つだけなので体力的には本当に楽ですし、熱いお湯もあるのでコーヒーやお茶も好きな時に作って飲むことができました。
そればかりか、「お客様が来た時にちゃんと対応してくれさえすれば、あとは何しててもいいよ。」とも言われました。
前任者はお客様が来ない時間帯は、本を読んでいたそうです。そんなありえないほど緩い職場でした。
社員さんの話によると、今までも何人かこの観光地インフォメーションで働いた人はいたそうですが、皆半年も続かず辞めていったとのこと。その時は「こんなに恵まれた環境なのになんでだろう?」と疑問に思いました。こんなに仕事が楽で自由な職場なら、一生働いても良いと思いました。
ところが、教育期間が終わり一人で仕事を任されるようになって、徐々に、前任者たちが辞めていった理由がわかってきました。1人で観光インフォメーションのカウンターに常駐するようになってから最初の一ヶ月くらいは、何かと充実した日々を過ごしていました。お客様と接するのはそれなりに緊張しましたし、日々、自身の成長を感じることができたからです。また、来てくださるお客様からどんな質問をされるかわからないのでインフォメーション内のパソコンで観光地情報を調べてたりしているうちに、毎日あっという間に時間が過ぎていきました。
しかし、お客様の対応に慣れてくると、心境が次第に変わってきました。どんな内容を質問されるか大体把握できるようになり、どこで何を調べたら情報が得られるかがわかるようになってきました。そうすると、だんだんすることがなくなってきたのです。すると、暇な時間が増え、時間が過ぎるのがとにかく遅く感じるようになりました。そして、人との接触が少ないことがこんなに辛いなんて・・・と気づけば思い悩んでいる自分がそこにいました。
社員さんのお言葉に甘えて、お客様が来ないときは、好きな本を読んだり、趣味の語学の勉強をしたりもしてみました。ところが、それが毎日毎日になると、空しさと将来の不安で胸が一杯になりました。楽しみといえばお昼休憩のときくらいのものでした。昼休みは休憩所で誰かと話ができるのが本当に嬉しかったのです。しかし、休憩が終わり、再び午後の勤務が始まるとひとりぼっちになり憂鬱でした。とにかく、やることがなく暇すぎる状況が苦痛で、お客様がいらっしゃったときははかなり詳しい観光情報をお伝えして、話をする時間を引き延ばしていたものです。
そのせいで職場に「観光インフォメーションの方がとてもいい対応だった」と喜びの電話があったらしく、社員さんたちから褒めていただきました。そのときはさすがに「どうしても人と話がしたくて情報を伝え続けた」とはさすがに言えませんでした。それから数週間後、私はその観光インフォメーションのアルバイトを辞めました。社員さんたちからは引き留められましたが、そのあまりの暇で退屈で・・そして寂しい毎日に耐えることができませんでした。
この観光インフォメーションの仕事は体力的には楽で自由にできるので 確かにありがたいアルバイトでした。しかし、人と接する機会があまりにも少なく、長く続けるにはちょっとむずかしい仕事だと感じました。ひとりで居る時間を有効かつ楽しく過ごせる人にとっては最高の仕事だったと思います。
       (楽なアルバイトの体験談 30代女性)

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