英会話学校のポスター貼りバイト

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かれこれ10年以上前の話になります。私は、大学1年生の時、夏休みを活用して、英会話学校のポスター貼りのアルバイトを体験しました。
完全出来高制のアルバイトで、個人商店や家など、ポスターが貼れそうな場所を探し、「英会話学校の〇〇〇です。もしできましたらポスターを貼らせていただけませんか?」みたいに飛び込み営業をするというのがその仕事内容です。もし貼らせていただくことができれば1枚当たり250円の報酬が発生するというものでした。完全出来高制ゆえに、もし断られつづけたら、1円も報酬は発生しません。
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アルバイト初日、英会話学校で社員さんから「この蛍光ペンで囲ったエリアを廻ってくれますか」という指示を受け、大量のポスターを受け取りました。そして、いざ指定させたエリアへ!といっても全くあてはなく、その後は完全なる飛び込み営業です
何気なく指定されたエリアの街並みを歩いていると、壁がつづいている古風なお店を発見。これはポスターがたくさん貼れそうだな!と思い、勇気を持ってインターホンを押しました。すると、厳しそうな店主が無表情で出てきました。「こちら英会話学校のOOです。ただ今、こういったポスターを無料で配布しております。もしよろしければ貼らせていただけませんでしょうか?」
「はあ?ポスターだ?」
「はい・・英会話学校のポスターでして・・・」
「こんなもん、なんでワシの店に貼らなあかんのや?」
「そうですね・・・たまたま通りかかりまして」
「ポスター貼ってこっちに何のメリットがあるんじゃ?」
「メリットですか・・・ん・・そうですね・・無料で配布しておりまして」
「何もメリットないんやろが。そんなもんゴミになるだけや。いらん!」
「お忙しいところすみません。失礼します・・・」
それが一件目の飛び込み営業の結果でした。辛かったですね。とはいえ考えてみたら、まあ当たり前といえば当たり前で、無料とはいえ、ポスターを貼ってもその店には何のメリットもないわけですから、なかなか貼らせてもらうことはできません。しかも、もし「貼ってもいいけど」という返事が返ってきても、直後に「やっぱりいいですわ」となるケースも多々あるわけです。
というのは、貼ってもらえる場所が決まれば、住所リストを書いてもらわないといけないからです。そこでは判子またはサインをしてもらう必要もありました。これがやはり嫌がれるわけです。そうなると「やっぱり面倒だし、結構です」という人も少なくありませんでした。
というわけで、数時間廻ったものの、誰もポスターを受け取ってもらえませんでした。しかし、断られる回数を重ねているうちに「貼ってもいいよ!」と言ってくれるお店も出てきました。また、そのポスターにはイケメンとして知られる某有名モデルが起用されていたため、「あ、こんな素敵なポスター無料でくれるの?ありがとう!」と感謝されることもありました。
当時大学生だった私は、朝から辺りが暗くなるまで足が棒になるほど歩き、なりふり構わず飛び込み営業をしました。なかには5枚くらいの枚数を受け取ってくれる方もおられ、何となくコツもつかめてきました。その甲斐あって、午後にかなり挽回して時給換算すると800円くらいを稼ぐことができました。
受け取ってもらったポスターはこちらで貼ってもよいですし、先方様が貼っても良いということになっていました。ですから、受け取ってくれただけの方のなかには、実際にポスターを貼っていないという人も少なくなかったと思います。
ただ、正直な方も中にはいるものです。次の日、同じエリアを訪れる機会があったのですが、ある家の壁に、ズラーっと7枚の選挙ポスターみたいに英会話学校のポスターが貼られていたのです。私が訪問した家でした。ポスターのモデルがあたかも選挙に立候補するみたいな異常な風景になっていたので、なんだか申し訳なくも笑ってしまいました。
果たしてこんなので英会話学校の生徒は増えるのだろうか?いろいろ疑問に思いながらも、1週間ほどその英会話学校ポスター貼のアルバイトをしました。毎日、朝から晩まで、歩き疲れてヘトヘトになるくらいまでやりました。そして、決して多くはない金額を稼いでいましたが、まだ若かったこともあってか、「結構楽なアルバイトだな」と思っていました。
今から考えると、もっと割の良い楽なアルバイトは星の数ほどあるわけですが、当時の私は知る由もありませんでした。とはいえ、その時、営業の楽しさや厳しさを知ったからこそ、社会人になってから、営業職にすんなり仕事に馴染むことができました。一生懸命に取り組んだことは、どこでその努力が生きてくるか分からないものだなとしみじみ思う今日この頃です。
         (英会話学校のポスター貼りのアルバイト体験談  30代男性)

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