私は現在40代の男性です。薬学系の大学院を卒業後、大手製薬会社で長年働きました。製薬会社時代は給料もよく将来安泰だと思っていました。
30歳のときに結婚。子供が小学生に入ったくらいから転職を考えるようになりました。毎日製薬会社に出勤しながらこのままでいいのか?とふと思ったのです。
それにはきっかけがありました。それはゴールデンウイークに地元に帰ったときのこと。中学や高校時代の友人と会うとなんだか毎日が充実しているように見えたのです。
例えば海外出張でヨーロッパを廻ってきたですとか、仕事がてらアジアでおいしいものを食べたなど。
それに比べて私は閉鎖的な研究室で地味な作業の日々。隣の芝生は青く見えるといいますか、もっと刺激的で変化のある毎日を過ごしたいなと思うようになりました。
このまま定年まで過ごすのか?と考えると、まだ脂ののったこの時期に転職をして第二の人生を過ごすべきではないか?と思うようになりました。
転職を考えた理由はもうひとつあります。それは、転職活動をしたら、すぐに転職先は決まるだろうと安易に考えていたことです。大学院を卒業していて大手製薬会社に勤めていたんだから、ひっかりだこで即採用だろと思っていたのです。
ですから、製薬会社を退職した後、のんびりと転職活動を始めました。
しかし、実際に転職活動をしてみると、思いのほか、なかなかうまくいきませんでした。
転職先に考えていた大手航空会社や大手旅行会社の多くは正社員としての採用の場合、新卒や第二新卒が中心で、40代が応募できる窓口はほとんどなかったのです。中小会社となると、給料が安かったり休みがろくにとれなさそうな条件のものが多く・・しかし、そんな会社に妥協して応募しても、不採用になることが続きました。
こんなはずじゃなかった・・とそのときようやく気付きました。転職で求められるのは、学歴や前職のネームバリューでなく、即戦力としてどれだけの知識や経験があるかということなのです。あとは仕事に向く人物像であるか否かですね。
私の場合、薬品に関する知識はありましたが、それ以外は専門分野が全くありませんでした。動機にしても、もっと華やかな業界で働いて刺激が欲しいという40代らしからぬ理由だったので、共感を得られにくかったと思います。
さらに、私はコミュニケーションが苦手で、無表情。他人からは怒ったように見えると言われることが多いです。しかも上記したように当時の私はプライドの塊で上から目線だっただけに、サービス業を目指すものとしては致命傷といわざるをえませんでした。さらに40代後半と、若さもない。
冷静に考えてみたら、転職活動がうまくいかないのも当然だと思いました。面接官の立場からしたら、そんな高慢で無表情のおじさんと一緒に働きたいなんて思わないわけです。
結局、5か月ほど転職活動をしたものの正社員として採用してくれる会社は1社もありませんでした。その頃になると貯金も目減りしてきて、精神的にボロボロでした。妻とはお金のことで毎日喧嘩。子供には誕生日プレゼントもろくに買ってやれない始末。本当に情けなかったですね。
正社員にこだわっている場合でない。その緊急性にようやく気付いた私は、派遣会社に登録しました。そして派遣会社で研修を受け、現在は航空系の中小企業に派遣され働いています。
しかし、華やかそうに見える航空業界も、実際にやっている仕事は大変地味なものです。また、派遣社員ですから驚くほど給料が安いということは言うまでもありません。妻もパートに出るようにあり何とか家計をやりくりしている状態ですが一家の大黒柱としての地位は完全に失墜しました。
転職活動をしてみて思ったことは、40代の転職というのは慎重になったほうがいいということです。そもそも年齢の面で最初からハンディを負っているわけですから、それを払しょくするだけのスキルや魅力がなければ、なかなか正社員としては採用はされないと思います。ましてや異職種となるとなおさらのことです。
ですから、もし転職をしたいと思っている人は、現在の職場で働きながら転職活動をこっそり進めることをお勧めしたいと思います。転職活動は実際にやってみてわかることもたくさんあるからです。
また、どのように転職活動を進めていいかわからない人は「転職エージェント」に登録して担当者に意見を聞いてみるのもおすすめです。私はごく最近になって転職エージェントのことを知るようになったのですが、履歴書の書き方から面接のコツ、合う求人などいろいろ教えてくれるよき存在です。
今は派遣社員としてもうしばらくがんばってスキルを身に着けるつもりです。近い将来は、そのスキルを活かして正社員として採用してくれる会社への転職を考えようと思っています。
(転職活動の体験談 40代男性 派遣社員)