私は現在、あるメーカーでの開発の仕事に従事しています。専門学校では福祉関係で介護福祉士の資格を取得しました。最初に就職したのは介護施設でした。社会的弱者のために尽くしたいという気持ちを持っての就職。しかし現場は考えていたよりも激務でめいってしまいました。
最初は、個々の入所者にやさしく接して幸せを感じていただきたいという思いを持っていました。
ただ、現場では、ものごとを指示通りに進めていくことが求められました。感情を持つ暇もありませんでした。
とにかく時間に追われ、入所者が何か困っていても、泣いていても、悩みに耳を傾けることもなく作業を機械的に進めていかねばならないという現場でした。
次第に個々にやさしい言葉をかけようという心のゆとりもなくなってなくなっていきました。
少しでも立ち止まると、先輩の職員たちから激しい叱咤が飛んできます。「何もたもたしてるの!早くしなさい!」
私は次第に精神的に落ち込んでいき、本当にやりたい仕事は介護施設での仕事ではなかったことに気が付きました。
介護施設を辞めてから転職活動をしました。福祉施設での仕事しか今まで考えていなかったので、迷ってしまいました。自分に何が向いているのかもよくわかりませんでした。
そんななか、転職エージェントに登録。面談の時に、そんな悩みを担当の方に話すと親身にいろいろアドバイスいただきました。結果的にそれがとても参考になりました。
その転職エージェントの担当者が話しておられたことは「介護の現場での経験は他業種でも大いに生かせる」ということでした。実際、日本では高齢化が進んでおり、福祉的視野を持った人材のニーズが高まっているということでした。
ですから、転職先として介護施設のみに限定せず、もう少し広い範囲で求人を探してみては?と勧められました。
そんな観点から求人を探し、私に合いそうな求人募集を見つけました。それはバリアフリーの商品を開発しているメーカーです。
専門学校しか出ていない私にとって高嶺の花ともいえる会社でしたが、面接では社会的弱者のために尽くしたいということを話しました。それが良かったのか採用に至りました。
現在では介護福祉士としての経験が生かしながら、転職先で試行錯誤しながら仕事に励んでいます。介護施設での見聞をもとに障がい者目線での企画を立てさせてくれるようにもなりました。
繁忙期は残業も結構あり休みは不規則になりがちですが楽しく働いています。結果的に転職をして良かったと感じています。
私が転職活動で気づいたことは、決してひとつの分野にこだわらなくてもいいということです。
自分が当たり前にすぎないと思うような見聞や技術でも、他分野の企業が欲しがっているケースもあるからです。私の場合、それは介護施設での経験でした。
(転職の体験談 30代女性)