暇すぎた不動産の留守番バイト

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私は10年程前、個人経営の不動産屋でアルバイトをしていました。時給は800円程とそこそこだったのですが、とても楽な仕事で印象に残っています。
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朝9時頃に出勤したら、シャッターを開けます。室内は10畳程にテーブルが二つ、お客様用のソファーが2つあるだけのこじんまりとした空間でした。まずは事務所内の掃除をするわけですが、 床はコンクリートでできていて、ほうきでサッとはくだけで十分でした。次にトイレ掃除。ただ、ほぼ誰も使わないトイレなので 汚れていません。一応、ブラシでゴシゴシこするものの、こちらもまたサッと終わらせます。
そうこうしているうちに社長がご出勤。社長にコーヒーを入れてさしあげます。コーヒーを飲んだら社長は軽トラに乗ってすぐさま現場へでかけてしまうので、それから私は1人事務所で留守番ということになります。
事務所内では簡単な書類整理程度の仕事しかなくたちまち暇になっていました。監視の目もなく、とにかく自由でした。ちなみに私はあまりに暇すぎて、途中からは任天堂DSを持ち込んで、時間つぶしていました。あと、私はタバコを吸うのですが 暇すぎて事務所でタバコばかり吸って部屋が煙たかったのを覚えています。換気がてらドアを全開にしてボーっと外で立っていたりもしていました。
たまに事務所に電話もかかってきますが、名前を伺って社長に伝えるためにメモっておくだけで十分でした。誰かが訪ねて来た時も同じくメモをとり、そのメモを社長のテーブルに置いて16時になると退社です。ときには、電話も来客もなくやる事が全くない日もありました。そんな日は7時間、1人で事務所にただ居るだけだったので、楽な仕事でラッキーというよりは、退屈で辛いなあと思ったものです。
ごくごくたまにですが、社長が事務所にいる日はありました。そんな日は必ず、誰かしら来客がありました。お客様がいらっしゃったら、私はコーヒーを出して 世間話をしてみたりして気が紛れていたものです。
以上のように、その個人経営の不動産屋でのアルバイトは超暇で楽すぎるアルバイトでした。ただ、結局3ヵ月ほど経過し、私はそのあまりに暇すぎて退屈な状況を不安に感じ辞めてしまいました。というのは、当時の私はまだ若く、いろいろな仕事にチャレンジしてみたいという気持ちにあふれていたからです。このままでは同世代の子たちに置いて行かれるな・・という不安があったのでした。
ただ、もしそれが今ならiPhoneでゲームしたり動画みたり 暇つぶしアイテムをたくさん持ち込んで気楽に仕事をしていたんだろうと思います。 今考えても、あの不動産屋に事務員が果たして必要だったんだろうか?と思いますが、私の前に働いていた方は定年まで20年以上務めていらっしゃったそうです。社長いわく その方には図面の製図なども 任せていたとか。もし長く勤めていたら、私にもそういった仕事らしい仕事を与えてくれていたのかもしれません。その点を考えると、もう少し長い目で考えて働いていたら良かったのかもしれません。
とはいえ、もし私が経営者なら 1日800円の時給といえど、7時間勤務で5600円もの給料を払う価値が事務員にあるのか?と疑問に思ったりもしました。それから10年近い歳月が流れ、ほんのときどき、その不動産屋の前を通る事があります。ただ、のぞきこんでも、事務員らしき人影は事務所内にはありません。 やっと社長さん 無駄な経費だったことを理解できたのかな?と思いつつ、雑踏にまぎれ通り過ぎています。
   (楽なアルバイトの体験談 30代女性) 

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