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製紙工場の派遣バイトは人間関係が楽





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大学2年生の夏休み中盤、遊びすぎてお金が底をつきそうになった私は、何か短期バイトをやらねばと思いました。そんな私が選んだのは工場の派遣バイトでした。派遣先の工場は、全国的にも知られている製紙工場でした。登録していた某派遣会社から、繁忙期の1週間限定で派遣される形で勤務がスタートしました。
勤務初日、工場の最寄駅に着くと、同じ派遣会社で招集された数名の派遣スタッフでタクシーに同乗。タクシーで10分ほど走り工場に到着しました。私含め招集された派遣バイトのメンバーは、皆それぞれ初対面でした。派遣会社からの仕事の場合、数日間現場で顔をあわせるだけということもあってか、誰一人として他人の機嫌を伺ったりしませんでした。何だか不思議な距離感がそこにはありました。
派遣先の工場に到着すると、気の良さそうなおじさんが、工場内を案内してくれました。この時も派遣バイトのメンバーたちは、お互い話しをすることもなく、一定の距離感を保ちながら無言で説明に聞き入っていました。ひと通りの説明が終わった後、いよいよ勤務開始です。
その工場では作業着、ヘルメット、安全靴などはすべて指定のものを着用。自分のサイズに合うものを探し、皆それぞれ着替えます。淡々と着替えて、最後にヘルメットを被る段になり、皆の手が一瞬止まりました。そして、自然にお互いがお互いを見ます。その手には、ネット。今までお互いを探るように距離を保っていた派遣バイトのメンバーたちも、思わず言葉を発しました。
「これって、被るんですよね、、、?」
工場では安全のためにヘルメットを被るのですが、製紙工場では商品への髪の毛の混入を防ぐためヘルメット装着前にネットを被るのです。ネットを被ったその風貌はまるで海女さんのよう。これにはさすがに皆、笑いが起き、一気に打ち解けることができました。
着替えがすみ、いよいよ指定されたラインにつきます。私はベテランパートのおばちゃんとペアを組むことになりました。そのラインで私達に指示された作業は、オムツを手作業でパッケージ袋に詰め込んでいくというもの。ラインに流れてきたオムツを10枚一組で重ね、上から体重をかけていきます。それは私の役割でした。
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そして、体重で圧縮されたそのオムツを、今度はおばちゃんが目いっぱいに広げたパッケージ袋に素早く、きれいに入れていきます。その作業を延々と繰り返していくというのが仕事内容でした。
一見すると簡単に思える上記の作業。実は意外と難しく、二人の息が合っていないと、うまくできませんでした。ですから、毎回「はい!」「はい!!」という声を掛け合いながら、テキパキ作業を進めていきました。最初はぎこちなかった私も、次第にコツを掴めてきました。
一日中この単調な作業をするわけですが、その製紙工場のいいところは一時間に一度小休憩があったこと。しかも、休憩室ではどこからともなくお菓子が出てくるのです。パートのおばちゃんが多い職場ということもあり、休憩中は終始賑やか。他愛もない話で盛り上がっていました。パートのおばちゃんたちも外部から派遣されてきたアルバイトが来ることが嬉しいのか、いろいろな話を振ってくれました。最初はそれぞれ黙ってた派遣バイトたちも、いつしかパートのおばちゃんたちの輪に溶け込み、和気藹々と話をするようになっていました。
そんな人間関係が楽で居心地の良い職場での1週間はあっという間に過ぎていきました。この製紙工場での派遣バイトを通しては思ったことは、元気のいいおばちゃんがいる職場、休憩室が賑やかな職場というのは働きやすいということ。やはり、人間関係の良い職場ではストレスが蓄積されず、仕事を楽だと感じやすいのです。また私たち派遣バイトのメンバー同士も短期間の付き合いということもあり、お互いにいい具合の距離感で楽しく仕事ができたと思います。
私はそれ以降、様々な業種でアルバイトをしました。ただ、この製紙工場でのアルバイト以上に一番人間関係が楽な職場はありませんでした。人間関係に悩む必要がなかったので、結果的に仕事にも集中できたと思います。
  (人間関係が楽なアルバイトの体験談 30代女性)

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