私は色々な職を転々としてきました。大学を卒業してからは製薬会社に入社しました。製薬会社では MR と呼ばれる仕事をしていました。お客様は病院やクリニックの医者などで薬品などに関する案内や取引を行っていました。給料安定していて休みの日もしっかりと取れそれなりに充実した社会人生活を送っていたと思います。
いざ製薬会社入社してみると自分の肌には合わないと言いますか、いわゆる体育会系の人々が多くて上下関係がかなり厳しい社風にありました。それは全く個人的な問題ではあるのですが、直属の上司は大学時代にアメリカンフットボールをやっていた人で、とにかく部下を厳しく指導していました。
私は部活動の経験がなくアルバイトをしたという経験も短期バイトぐらいしかなかったので、その上下関係にも嫌気が差しました。と言いますか上下関係をどう築いていいかわからず、その都度上司達に叱られていたのです。
例えば自分の仕事が終わったから自分が早く帰ると言ったことは基本的には 新人としてはNG なんですよね 。しかし私はそういったことがわからず、ではこの辺で帰らせていただきますという感じで自分だけ早く帰ったりしていました。
中にはそれでもいいという人もいたのかもしれませんが、暗黙の了解として新入社員は先輩達のお世話をして、先輩達より早く出社し誰よりも遅く帰るというのがあったのです。私はある日のこと上司に呼び出されて、お前はやる気あるのか?と言うことわから始まり延々と説教されました。
しかし私としては別にいいじゃないかという風な気分がありました。ですから、あなたから給料をもらっているわけじゃないしいいじゃないですかという風に反論してしまいました。それによって上司の態度はさらに激昂しました。そういったことから私はこの会社はもう嫌だという風に思い、翌日人事部に入って会社を辞めたいという風に思いを告げました。
結局なんだか色々な面でかみあわず入社してから半年足らずで製薬会社を退職したのですけれども、私は余裕をかましていました。なぜならその製薬会社に内定したのも、たった3社受けただけだったからです。
そのように簡単に採用になったのだから転職活動も簡単なはずだという風に高をくくっていました。ところが そうもいきませんでした。有名な企業に応募していたというのもあるのですけれども、面接まではいってもなかなか内定をもらうことができない日々が続きました。
徐々に製薬会社時代に稼いでいた給料で貯めていた貯金も底をつき始めました。また当時の私は一人暮らしだったので家賃、光熱費、奨学金の返済、国民年金などいろいろ支払っているとこれはヤバいなという風に思い始めました。
そこで本格的に転職活動を進めることにしました。真っ先に思い浮かんだのはハローワークです。たまたま私が住んでいた下宿から徒歩10分ほどのところにハローワークがあったということもあり、まずそれが思い当たったのです。ハローワークに行くと中高年層の人々を中心にたくさんの求人者が集まっていました。
中には半ば浮浪者風の方もいらっしゃいました。おそらく転職活動がうまくいってなくて生活が追い詰められているのだと感じました。私もこのまま行ったら同じようになってしまうのだろうか?そのような不安が頭をよぎりました。
ハローワークでは設けられているパソコン端末で求人を探し、窓口でその求人に関する詳細をプリントアウトしてもらいます。そして応募してみたいと思う求人であったならば面接や書類選考の段取りについて窓口の方が教えてくれたり求人もとに尋ねてくれたりします。
ハローワークに掲載されている求人は地元に特化した求人がほとんどで、あここの場所知っている!あの会社も募集しているんだ!みたいな小さな驚きがたくさんあったこと覚えてます。ハローワークに掲載するには求人元の企業は、掲載費はかからないけれどもある程度の審査を受けなければならないそうで、そういう意味でも多少安心することができました。
後から転職活動仲間に聞いた話によると、ハローワークに掲載されている求人でもそう安心できるものでもないということです。例えば求人票に一般事務と書かれていていざ採用になって働きに出てみると、重たい荷物を持つ作業があったり、営業やらされたりそういった求人も中にはあるのだそうです。
その点おそらくあまりにも数の多い求人数なだけにハローワークの職員たちも全ての求人情報について詳しく目が行き届いていないという事情があるのではないかと思います。ただ私の印象としては、アルバイト求人雑誌や転職求人雑誌に掲載されている 物よりもリスクが少ないという風に思いました。
また機会があれば書きたいとは思いますが、例えば転職求人雑誌に アナウンス業務と書かれていて興味があって応募したことがあります。しかしいざ求人元に面接に行ってみると、アナウンススクールの勧誘を受けました。しかもその金額はかなり高額でその場で辞退したということは言うまでもありません。お金がないから履歴書を書いて面接に行ってるのに、お金を使う案件を紹介されてもなんだかな・・という風に思いました。転職求人雑誌もある程度、求人に審査はあるとは思うのですけれどもやはり甘さがあるのではないかなという風に私は思いました。
さて話を戻しますけれども、ハローワークでうまく求人情報を見つけるコツとして、ハローワークインターネットサービスというサイトを使うというのがあります。このハローワークインターネットサービスとはハローワークが運営している Web サイトのことです。
都道府県や勤務の雇用形態などを入力して検索すると、ハローワークに掲載されている求人と同じ求人情報を閲覧することができます。ただそこではなんという会社が募集しているのかというところまでわかりません。ですから求人番号を控えておいてそれをハローワークに持参して窓口にて、どんな会社の求人なのかということを教えてもらうということになります。
私はハローワークインターネットサービスを活用するようになってから、ハローワークで求人を探す効率が格段にあがりました。ハローワークではたくさん求職者が詰まっていて長い時間パソコン端末を占領することはできません。ですから どうしてもじっくりと求人を探すことができず、焦ってしまって、目を通せない箇所がたくさん出てきます。
それに対してハローワークインターネットサービスは自宅にパソコンさえあれば何時間でも好きなだけ自分に合う仕事を探すことができます。 プラ誰に気を使うこともなく思うまま納得いくまま仕事探しに専念できるので私の場合とても重宝していました。
ハローワークに登録してからだいたい1か月ぐらいしたある日のこと、この仕事は面白いなと思う案件がありました。 それは あるベンチャーの it 関連企業です。
調べてみると結構有名企業のホームページを手掛けていたりして、スタッフは現場に取材を言って写真や文章でその企業の魅力を綴り、ホームページを作成していくという仕事でした。
私はパソコンをいじるのが元々好きで自分でホームページを作ったりブログを立ち上げて旅行記を書いたりよくしていました。ですからそういった作業に魅力を感じましたし、これからの時代ますます it 関連企業が伸びていくとも思いました。またベンチャー企業ということで中途採用の自分でも色々なことを任せてもらえるのはないかというような期待もありました。
そこでハローワークの方に採用試験を受けてみたいということを告げその場で面接の段取りなどを取り次いでもらえました。それから数日後面接に履歴書と職歴書を持参してその it 関連企業のもとに出向きました。
一般住宅をオフィスに改造したような小さい会社だったのですが、とても居心地のよい感じで、社長さん含め人柄の良さが伝わってきました。面接ではもちろんどうして半年も経たずに製薬会社を辞めてしまったのかと言うことも聞かれましたが、正直にあった出来事や it 分野に関する自分の熱意を語ることで切り抜けることができました。
それ 3日ほどして採用の連絡をいただきました。ハローワークの方も自分のことのように喜んでくれたのが印象に残りました。
私の転職活動はそのように幕を下ろしました。そして現在はその it 関連企業にて毎日働いています。もちろん仕事ですからしんどいなと思うこともあります。また、転職をしてからは給料は残念ながら下がりましたし休暇の日数も減りました元々パソコンをいじるのが好きですしこれから行ってみたい夢もあるので楽しく働かせていただいています。
製薬会社を退職してから採用通知をいただくまでに大体2ヶ月ほどの期間が経っていたと思います。転職活動の平均はだいたい2、3ヶ月と言われていますから私の場合その平均値ぐらいだったのかなという風に思います。
転職活動をして思ったことは、動いてみることで道は開けるものだということがわかったということです。転職活動をした後してから不採用通知の連続だった時期は心が折れそうになることもありました。そんな時は大抵は自分の殻に閉じこもりがちになりネガティブなことばかり考えてしまいます。
ただ今から考えると、そんな時にこそ何ら頭動いていたというのがよかったのかもしれません。もちろん貯金が尽きかけていて焦っていたというのもあるのですけれども、悩んでいる暇がないと言いますか、不採用通知を頂いた日でも何かしなければいけないという風に思い次から次へと行動をしたのがよかったかもしれません。
また特に用事がない日でもハローワークには1日一回は行くようにしていました。そうすることで危機感をより感じることができるという点で効果があったと思います。もし一人で図書館や喫茶店など快適な場所で転職活動を行っていたら、まあなんとかなるかという風に気楽に構えてずるずる時間だけが過ぎていたかもしれません。
しかしハローワークには社会の厳しさを目の当たりにできるような現実があります。みんな必死になって求人情報探し、なんとか現状を出して転職先や就職先をなんとしてでも見つけたいと空気感が溢れています。
そのような場にいたらおのずと自分の士気も高まるというものです。それぞれ特に面識もなく話をするというわけでもないのですけれども、あ、あの人がまた仕事探しを頑張っている。だから自分も頑張らないとという風に何度も思ったものです。
あとハローワークの担当者から転職活動に関するアドバイスを色々とうけれるというメリットもありました。私の場合履歴書職歴書の書き方について添削をしていただいたり、面接で聞かれたことに対する回答について意見をいただくこともできました。
そういった作業はその担当者にもよりますし、混み合っているときは無理ですけれども、さすがに就職転職のプロなだけに的確な回答を毎回いただくことができていました。
例えば私の場合、半年も経たずに前職である製薬会社をやめてしまったというのがどうしてもネックになっていました。 転職活動の序盤でうまくいかなかった理由はおそらくそういった質問をされた時にうまく回答することができていなかったからではないかと思います。
というのは履歴書にしても面接にしても、前職を辞めた理由人間関係のトラブルという風に書いていたのです。それは確かに事実であるのですけれども、そのように書いてしまうとどうしても面接官からすると、この人は性格に難があって同僚たちとうまく人間関係を構築できない人なんだという風に思われてしまうわけです。
つまり応募する時点から自ら墓穴を掘っていたということなのです。ハローワークの方のアドバイスによりそのあたりも修正することができました。ハローワークのかたによると、「今後やってみたいこと」と関わらせて回答すれば良いとのことでした。
ですから私の場合、採用になった it 関連企業では、具体的にどのようなホームページを作りたいのかということをかなり詳しく熱く語りました。
それだけの熱意があってだから製薬会社を止めてまでも it 関連企業に転職をしたいんだ。そういうスタンスで述べたのがよかったという風に思っています。
転職活動を通してえたものとしては、自分が何をやってみたいのかということを真剣に考える時間を持つことができたという点だったと思います。前職の製薬会社の時はどちらかと言うと妥協して入社したということしかなかったのでやりたいことが特にありませんでした。
しかし転職活動ではどのように行動しどのような会社に応募するかはまさしく自分自身の判断によるものです。新卒での就職においていわば私は失敗したわけですから、次は絶対に失敗しないぞ!自分のやりたい仕事をやるんだ!という気持ちが人一倍強くあったと思います。
ですからある意味妥協することがなく現職である it 関連企業を選べたと思います。色々な意味で転職活動をするというのは世間では決してプラスに捉えられるものではないかと思います。
実際のところ製薬会社を辞めたということを身内に話したところ、親は激怒し親戚からもお前は何やってんだ!と怒鳴られたりしました。また近所のおばさんからは、フリーターって大変でしょう。大学出た意味なかったんじゃない? みたいにちょっと小馬鹿にされるようなこともありました。
ただそういった声も含めて自分の人生について自分のやりたい仕事について真剣に考える機会になったと思います。人生は長いです。また現時点において安定した大企業に勤めていたとしてもいつリストラされるかわかりませんしいつ会社が潰れてしまうかもしれません。
ですから私たちはどのような社会状況になったとしても、仕事を通してお金を稼ぎ自己実現を果たしていくという能力が求められるのだと思います。
ある意味転職活動を通して私はそういった能力を鍛えることができたという面でも意味があったのではないかなという風に思っています。もし次の機会に転職を考える時があれば、あの時はこのように考えたから次はこのように考えてみよう!と色々道筋を立てて転職について考えることができていると思います。ですから私の転職活動には意味があったと思っています。
(転職の体験談 20代男性)