私は高校生のとき、友達の紹介で駅前にある魚屋さんでアルバイトをしていたことがあります。その魚屋さんでのアルバイトは一定の忙しさがありましたが、人間関係が楽でした。
魚屋さんでのアルバイトの勤務期間は春休み限定の約20日間。店頭に立ちお客さんが通ったら「らっしゃい、らっしゃい」と声掛けをしたり魚を並べるのが主な仕事でした。自分が声掛けをしたことで「このサンマください」みたいにお客さんが言ってくれると本当にうれしくなり、「ありがとうございました」と心から言えたものです。
魚をビニール手袋で手づかみして並べる。3月のまだ寒い時期だったので、手が芯まで冷たくなりました。ただ、当時高校生だった私は年が若いこともあって、店員さんがみんな優しかったです。今になって思えば、息子をかわいがるようなものだったと思います。
一緒の高校に通う友だちといっしょにアルバイトをしていたこともあり、電車を乗りついで通勤するときは、話し相手がいました。また仕事中でもお客さんがいない間は、オジサンたちから、よく声をかけてもらいました。冗談を言ってもらったり、手を温めるお湯を出してもらったり。みんな優しく人間関係が楽な仕事だなと思ったものです。
その魚屋さんでは、能率主義でなかったことも人間関係が楽な仕事につながっていたと感じます。商店街にある小売りのお店だったので、ガツガツ販売しなくてもお客さんは買い物に来てくれました。ですから、のんびりした空気感が漂っていました。しかもお客さんは馴染み客ばかり。世間話をして共に笑いあうなど、まるで家族のような雰囲気の職場でした。
お客さんとの人間関係、店員さんとの人間関係、いずれも楽でしたね。店長もやさしい人で怒られたことは一度もありませんでした。勤務時間は8時~19時。体力的には楽とはいえないアルバイトだったかもしれませんが、人間関係が楽だったので、疲労感はあまりありませんでした。
そんな魚屋さんのアルバイトを経験してから、はや10年。私も年を重ねました。この期間中、いろいろなアルバイトを経験しました。そこで気付いたことは、仕事が適度に忙しさがあるアルバイトのほうがかえって人間関係が楽であること。忙しすぎても暇すぎてもダメで「適度な忙しさ」というのがポイントです。魚屋さんのバイトも「適度な忙しさ」があったように思います。
人間関係が楽だったのは、魚屋さんバイト以外では、工場のバイトなどが挙げられます。一方で、一番人間関係が難しかったのは、飲食店でのバイト。居酒屋やファミリーレストランなどは、ストレスを仲間にぶつけてくる先輩店員もいて、人間関係が難しかったです。それらの店は例外なく、かなり忙しいお店でした。
仕事が長続きするかしないかは、個人差があるとは思いますが、人間関係の良しあしで決まると言っても過言ではありません。人間関係が悪いと、いくら仕事が合っていてもストレスが蓄積され長続きしないと思うからです。
そこでは、年齢が低い人が多い職場の場合、人間関係が良くなくなる傾向があるとも感じました。人間的成熟度が低いために、すぐケンカやいじめにつながるからです。一方で、40代以降の人が多く勤める職場では体力的にきついバイトでも、あまりケンカやいじめはありませんでした。年配者は精神的に成熟していますし、それぞれの生活維持が第一であるため、いじめをする余裕がないのだと思います。
(人間関係が楽なアルバイトの体験談 20代男性)
魚屋さんは人間関係が楽なバイトでした
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