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私は学生時代、本を読むのが好きだったこともあり、古本屋や書店のアルバイトを探していました。そんな中ようやく見つけたのが、個人経営をしている古本屋でした。
その古本屋をアルバイト先に決めた理由は、学校の帰宅途中にあり、見たことのないような本がたくさん並んでいるのが面白かったからです。
店長も人当たりのよい感じの人で、お客様からも評判の高い方でした。
さて、古本屋でのアルバイトの内容ですが、不要になった本の整理や陳列を行ったり、店長が引き取った本にひどい汚れがないかチェックするといったことをメインにやっていました。
来店される方の年齢層は定年後の方が多く、様々な本の知識を持っておられるような人ばかりでした。
私の周りに読書家がいなかったこともあり、そういったお客様とお話をするのも楽しい時間でした。
数多くの本を紹介してくださる方もいてとてもうれしかったことを覚えています。
その古本屋では、「休憩タイム」と称された、コーヒーとおやつを用意してゆっくりすごす時間も設けられていました。
おやつは店長の奥様が作ってくださったものが多く、毎回違ったおやつを用意してくださるため、私はその時間が楽しみでなりませんでした。
お店の場所も駅から離れたところにありました。
毎回決まったお客様しか来店されなかったこともあり、そこだけ時間の流れがゆっくりしているように感じました。
古本の買取作業に関しては店長が隅々まで確認し、お客様と折り合いがつけられるよう丁寧に話を進めておられ、最後に必ず「この本と別れることに後悔はありませんね?」とたずねていらっしゃいました。
私はこの言葉が今も印象に残っており、物を片付けるときに心の中で聞いてみるほど大切な言葉になりました。
何気なく不要になったものを捨てるのではなく、最後だからこそきちんと向き合って「長い間お世話になりました」と伝えることが大切なのだと学ばせていただきました。
実際、この言葉で買取をいったん保留にされる方もいらっしゃいました。一番最初は自分が必要だと感じて購入を決めたものなので、考え直す方が多いのだと思います。
皆さんも不要なものを処分する際には、最後にもう一度ものに向き合い思い出に浸るよう心がけていただきたいです。店長はよく、「本でも人でも出会いと別れを繰り返すからこそ味が出てくるものだ」といっておられました。
長く愛され続けた本は本から愛情が伝わってくるともおっしゃられていました。良い言葉だと思いました。
偶然見つけたゆったりとしたアルバイトでしたが、大切なことを店長からたくさん教えていただいたことが印象に残っています。皆さんも夏のアルバイトで素敵な出会い、素敵な言葉に出会うことができますように。
(楽なアルバイトの体験談 20代女性)
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